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実数論 (10)交代級数


 ${}^{\forall}n\in\mathbb{N},a_n\ge0~$または$~{}^{\forall}n\in\mathbb{N},a_n\le0~$のどちらかが成り立つ実数列$~\{a_n\}~$を用いて $$ \sum_{n=0}^\infty(-1)^na_n $$ と表されるような級数を交代級数という。

定理22
$\{a_n\}~$をすべての$~n\in\mathbb{N}~$に対して \begin{align} &a_n\ge0\\ &a_n\ge a_{n+1} \end{align} を満たす実数列とする。
このとき、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=0~$なら交代級数$~\displaystyle\sum_{n=0}^\infty(-1)^na_n~$は収束する。

$\displaystyle\sum_{n=0}^\infty(-1)^na_n~$の第$~n~$部分和を$~S_n~$とする。
${}^{\forall}n\in\mathbb{N},a_n\ge a_{n+1}\ge0~$より、すべての$~n\in\mathbb{N}~$について、 \begin{align} &S_{2n-1}\le S_{2n-1}+a_{2n}-a_{2n+1}=S_{2n+1}\\ &S_{2n+1}=S_{2n}-a_{2n+1}\le S_{2n}\\ &S_{2n+2}=S_{2n}-a_{2n+1}+a_{2n+2}\le S_{2n} \end{align} が成り立つ。 よって、任意の$~n\in\mathbb{N}~$について、 $$ S_{2n-1}\le S_{2n+1}\le S_{2n+2}\le S_{2n} $$ となる。
さらに、$S_{2n}-S_{2n-1}=a_{2n}~$なので、 $$ \lim_{n\to\infty}(S_{2n}-S_{2n-1})=\lim_{n\to\infty}a_{2n}=0 $$ である。
よって区間縮小法の原理より、ある実数$~\alpha~$があり、 $$ \lim_{n\to\infty}S_{2n}=\lim_{n\to\infty}S_{2n-1}=\alpha $$ となる。

任意に$~\varepsilon\in\mathbb{R}_{\gt}~$をとる。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}S_{2n}=\lim_{n\to\infty}S_{2n-1}=\alpha~$より、ある$~N_1,N_2\in\mathbb{N}~$があり、 \begin{align} &n\ge N_1\Longrightarrow|S_{2n}-\alpha|\lt\varepsilon\\ &n\gt N_2\Longrightarrow|S_{2n-1}-\alpha|\lt\varepsilon \end{align} が成り立つ。
このとき、$N=\max{\{2N_1,2N_2-1\}}~$とおくと、 $$ n\ge N\Longrightarrow|S_n-\alpha|\lt\varepsilon $$ となるので、$\{S_n\}~$は$~\alpha~$に収束する。
$$\square$$