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実数論 (9)正項級数


 級数$~\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_n~$について、 $$ {}^{\forall}n\in\mathbb{N},a_n\ge0 $$ となっているとき、$\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_n~$は正項級数であるという。

定理20
正項級数$~\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_n~$が収束することと、部分和の列$~\{S_n\}~$が有界であることは同値である。

正項級数$~\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_n~$が収束するとする。
つまり、$\{S_n\}~$が収束するので、定理4より$~\{S_n\}~$は有界である。

部分和の列$~\{S_n\}~$が有界であるとする。
$a_n~$は常に非負なので、$\{S_n\}~$は単調増加列である。
有界な単調増加列は収束するので、$\{S_n\}~$は収束する。
つまり、$\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_n~$は収束する。
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定理21(比較定理)
正項級数$~\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_n,\sum_{n=0}^{\infty}b_n~$について、 $$ {}^{\exists}N\in\mathbb{N}~\mathrm{s.t.}~{}^{\forall}n\in\mathbb{N},n\ge N\Longrightarrow a_n\le b_n $$ となるとき、次が成り立つ。 \begin{align} (1)&~\sum_{n=0}^{\infty}b_n~が収束すれば~\sum_{n=0}^{\infty}a_n~も収束する\\ (2)&~\sum_{n=0}^{\infty}a_n=\infty\Longrightarrow\sum_{n=0}^{\infty}b_n=\infty \end{align}

$(1)~$ 仮定の$~N\in\mathbb{N}~$を用いて、数列$~\{c_n\}~$を $$ c_n=\left\{ \begin{array}{ll} a_n & (n\lt N)\\ b_n & (n\ge N) \end{array} \right. $$ となるように定める。
定義から明らかに、すべての$~n\in\mathbb{N}~$について$~a_n\le c_n~$となっている。
よって、すべての$~n\in\mathbb{N}~$について、 $$ \sum_{k=0}^{n}a_k\le\sum_{k=0}^{n}c_k $$ となる。
今$~\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}b_n~$が収束するので、$~\displaystyle\sum_{n=N}^{\infty}b_n~$は有限である。
よって、$\displaystyle\sum_{n=N}^{\infty}c_n~$も有限なので、$\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}c_n~$は収束する。
したがって、$\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_n~$も収束する。

$(2)~$ 仮定の$~N\in\mathbb{N}~$を用いて、数列$~\{d_n\}~$を $$ d_n=\left\{ \begin{array}{ll} b_n & (n\lt N)\\ a_n & (n\ge N) \end{array} \right. $$ となるように定める。
定義から明らかに、すべての$~n\in\mathbb{N}~$について$~b_n\ge d_n~$となっている。
よって、すべての$~n\in\mathbb{N}~$について、 $$ \sum_{k=0}^{n}b_k\ge\sum_{k=0}^{n}d_k $$ となる。
今$~\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_n=\infty~$なので、$~\displaystyle\sum_{n=N}^{\infty}a_n=\infty~$である。
よって、$\displaystyle\sum_{n=N}^{\infty}d_n=\infty~$となるので、$\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}d_n=\infty~$である。
したがって、$\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}b_n=\infty~$となる。

$$\square$$