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実数論 (4)実数の連続性


 空でない部分集合$~A\subset\mathbb{R}~$について、 $$ {}^{\exists}M\in\mathbb{R}~\mathrm{s.t.}~{}^{\forall}a\in A,a\le M $$ を満たすとき、$A~$は上に有界であるという。
$$ {}^{\exists}L\in\mathbb{R}~\mathrm{s.t.}~{}^{\forall}a\in A,a\ge L $$ を満たすとき、$A~$は下に有界であるという。
また、$A~$が上に有界かつ下に有界であるとき、$A~$は有界であるという。

 空でない部分集合$~A\subset\mathbb{R}~$について、元$~\alpha\in\mathbb{R}~$が \begin{align} (1)&~{}^{\forall}x\in A,x\le\alpha\\ (2)&~{}^{\forall}y\in\mathbb{R},(y\lt\alpha\Longrightarrow{}^{\exists}x\in A~\mathrm{s.t.}~y\lt x) \end{align} となるとき、$\alpha~$は$~A~$の最小上界または上限といい、$\alpha=\sup{A}~$と書く。 \begin{align} (1)'&~{}^{\forall}x\in A,x\ge\alpha\\ (2)'&~{}^{\forall}y\in\mathbb{R},(y\gt\alpha\Longrightarrow{}^{\exists}x\in A~\mathrm{s.t.}~y\gt x) \end{align} となるとき、$\alpha~$は$~A~$の最大下界または下限といい、$\alpha=\inf{A}~$と書く。

定理8
$A\subset\mathbb{R}~$に対して、$\max{A}~$が存在するなら$~\sup{A}=\max{A}~$である。
また、$\min{A}~$が存在するなら$~\inf{A}=\min{A}~$である。

$m=\max{A}~$とする。
$y\in\mathbb{R}~$をとり、$y\lt m~$とする。
$x=m~$は$~m\in A~$であり、$y\lt m~$を満たしている。
よって、$\sup{A}=\max{A}~$である。
同様に$~\inf{A}=\min{A}~$も導かれる。
$$\square$$


命題9
$A~$を空でなく上に有界な$~\mathbb{R}~$の部分集合とする。 このとき、 $$ \lim_{n\to\infty}a_n=\sup{A} $$ となる$~A~$の元の列$~\{a_n\}_{n\in\mathbb{N}}~$が存在する。

$\alpha=\sup{A}~$とする。 上限の定義より、すべての$~n\in\mathbb{N}~$について、 $$ \alpha-\frac{1}{n+1}\lt a_n\lt\alpha $$ となる$~a_n\in A~$がとれる。
このとき、 $$ \lim_{n\to\infty}\left(\alpha-\frac{1}{n+1}\right)=\alpha $$ なので、はさみうちの原理より$~\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha~$である。
$$\square$$


定理10
$A\subset\mathbb{R},A\neq\emptyset~$とする。
このとき、$A~$が上に有界なら上限$~\sup{A}~$が$~\mathbb{R}~$に存在する。

今$~A\neq\emptyset~$なので任意に$~r_0\in A~$をとる。
また$~A~$は上に有界なので、すべての$~x\in A~$について$~x\le s_0~$となる$~s_0\in\mathbb{R}~$がある。
もし、$r_0=s_0~$ならば$~s_0\in A~$なので、$s_0=\max{A}~$となる。
つまり、定理8より$~s_0=\sup{A}~$となり題意を満たす。
以降$~r_0\lt s_0~$とする。
ここで、閉区間$~I_n=[r_n,s_n]~(n\in\mathbb{N})~$を以下のように再帰的に定義する。
\begin{align} &I_0=[r_0,s_0]\\ &I_{n+1}=\left\{ \begin{array}{ll} \left[r_n,\cfrac{r_n+s_n}{2}\right] & \left(A\cap\left[\cfrac{r_n+s_n}{2},s_n\right]=\emptyset\right)\\ \left[\cfrac{r_n+s_n}{2},s_n\right] & \left(A\cap\left[\cfrac{r_n+s_n}{2},s_n\right]\neq\emptyset\right) \end{array} \right. \end{align}
この定義より、明らかに次が成り立つ。 \begin{align} (1)&~{}^{\forall}n\in\mathbb{N},r_n\le r_{n+1}\le s_{n+1}\le s_n\\ (2)&~r_n-s_n=\frac{r_0-s_0}{2^n}\longrightarrow0~(n\longrightarrow\emptyset)\\ (3)&~{}^{\forall}n\in\mathbb{N},{}^{\forall}x\in A,x\le s_n\\ (4)&~{}^{\forall}n\in\mathbb{N},A\cap I_n\neq\emptyset \end{align} $(1),(2)$と区間縮小法の原理より、ある$~s\in\mathbb{R}~$があり、 \begin{align} &r_n,s_n\longrightarrow s~(n\longrightarrow\infty)\\ &{}^{\forall}n\in\mathbb{N},r_n\le s\le s_n \end{align} を満たす。 よって、$(3)$と定理3より、 $$ {}^{\forall}x\in A,x\le s $$ が成り立つ。
任意に$~y\in\mathbb{R}~$をとり、$y\lt s~$とする。
$r_n\to s~(n\to\infty)~$より、ある$~N\in\mathbb{N}~$があり、 \begin{split} n\ge N&\Longrightarrow|r_n-s|\lt s-y\\ &\Longrightarrow y\lt r_n \end{split} を満たす。 特に$~y\lt r_N~$である。
このとき、$(4)$より$~A\cap I_N\neq\emptyset~$なので、元$~a\in A~$で$~r_N\le a\le s_N~$となるものがとれる。
よって、$y\lt r_N\le a~$となる$~a\in A~$がとれる。
したがって、$s~$は$~A~$の上限である。
$$\square$$

この性質を実数の連続性という。
(0)前提
(1)数列の収束
(2)数列の有界性
(3)数列の発散
(4)実数の連続性