群論 (9)自己同型
$G~$を群とするとき、$G~$から$~G~$自身への同型写像を自己同型という。
$G~$の自己同型全体の集合を$~\mathop{\mathrm{Aut}}\nolimits G~$と書く。
$\mathop{\mathrm{Aut}}\nolimits G~$上の演算を通常の写像の合成とすると、これが群になることが容易にわかる。
この$~\mathop{\mathrm{Aut}}\nolimits G~$を$~G~$の自己同型群(automorphism group)という。
$G~$を群、$g\in G~$を元とする。
このとき、写像$~i_g:G\rightarrow G~$を$~i_g(h)=ghg^{-1}~$で定義する。 \begin{align} i_g(h_1h_2)&=gh_1h_2g^{-1}\\ &=gh_1g^{-1}gh_2g^{-1}\\ &=i_g(h_1)i_g(h_2) \end{align} なので、$i_g~$は準同型写像である。
$i_{g^{-1}}~$が$~i_g~$の逆写像になることは容易なので$~i_g~$は同型写像である。
$i_g~$の形をした自己同型のことを内部自己同型という。
内部自己同型でない自己同型を外部自己同型という。
$h_1,h_2\in G~$に対し、${}^{\exists}g\in G~\text{s.t.}~h_1=i_g(h_2)~$となるとき、$h_1,h_2~$は共役であるという。
命題17
$G~$を群とするとき、写像$~\varphi:G\rightarrow\mathop{\mathrm{Aut}}\nolimits G~;~g\mapsto i_g~$は準同型写像である。
$g_1,g_2\in G~$とする。
このとき、任意の$~h\in G~$に対し、 \begin{equation*} \begin{split} \varphi(g_1g_2)(h)&=i_{g_1g_2}(h)\\ &=g_1g_2h(g_1g_2)^{-1}\\ &=g_1g_2h{g_2}^{-1}{g_1}^{-1}\\ &=i_{g_1}(i_{g_2}(h))\\ &=(i_{g_1}\circ i_{g_2})(h)\\ &=(\varphi(g_1)\circ \varphi(g_2))(h) \end{split} \end{equation*} となるので、$\varphi(g_1g_2)=\varphi(g_1)\circ \varphi(g_2)~$であり、$\varphi~$は準同型写像である。
$$\square$$
このとき、任意の$~h\in G~$に対し、 \begin{equation*} \begin{split} \varphi(g_1g_2)(h)&=i_{g_1g_2}(h)\\ &=g_1g_2h(g_1g_2)^{-1}\\ &=g_1g_2h{g_2}^{-1}{g_1}^{-1}\\ &=i_{g_1}(i_{g_2}(h))\\ &=(i_{g_1}\circ i_{g_2})(h)\\ &=(\varphi(g_1)\circ \varphi(g_2))(h) \end{split} \end{equation*} となるので、$\varphi(g_1g_2)=\varphi(g_1)\circ \varphi(g_2)~$であり、$\varphi~$は準同型写像である。