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群論 (6)元の位数


 $G~$を群、$x\in G~$を元とする。 このとき、 $$ \underbrace{x\cdots x}_{n}=e_G $$ となる正の整数$~n~$が存在すれば、その中で最小のものを$~x~$の位数という。
もし、上のような正の整数$~n~$が存在しなければ、$x~$の位数は$~\infty~$である、 または、$~x~$は無限位数であるという。

命題8
$G~$が有限群なら、$G~$の任意の元の位数は有限である。

$g\in G~$なら、$G~$の元の個数が有限なので$~\{e_G,g,gg,\dots\}~$は有限集合である。
よって、$i\lt j~$があり$~\underbrace{g\cdots g}_{i}=\underbrace{g\cdots g}_{j}~$となる。
このとき、$\underbrace{g\cdots g}_{j-i}=e_G~$である。
$j-i\gt 0~$なので、$g~$の位数は有限である。
$$\square$$


命題9
$G~$を群、元$~x\in G~$の位数は有限で$~d(\gt 0)~$とする。
このとき、任意の整数$~n~$に対して、次が成り立つ。 \[ \underbrace{x\cdots x}_{n}=e_G\Longleftrightarrow n~は~d~の倍数 \]

$\Leftarrow$は自明なので、$\Rightarrow$のみを示す。
背理法により示す。
$n=qd+r~$となる整数$~q,r~$があるとする(ただし$~0\lt r\lt d~$である)。
$\underbrace{x\cdots x}_{qd}=e_G~$なので \begin{align} \underbrace{x\cdots x}_{r}&=e_G\cdot\underbrace{x\cdots x}_{r}\\ &=\underbrace{x\cdots x}_{qd}\cdot\underbrace{x\cdots x}_{r}\\ &=\underbrace{x\cdots x}_{qd+r}\\ &=\underbrace{x\cdots x}_{n}=e_G \end{align} となるが、これは$~0\lt r\lt d~$より、位数の最小性(定義)に矛盾する。
よって、$n~$は$~d~$の倍数である。
$$\square$$


命題10
$x~$を群$~G~$の有限位数$~d~$の元、$H=\langle x\rangle~$を$~x~$で生成された部分群とする。
このとき、$|H|=d~$である。

$H=\left\{\underbrace{x\cdots x}_{n}\mid n\in\mathbb{Z}\right\}~$である。
$n\in\mathbb{Z}~$なら、$n=qd+r~(0\le r\lt d)~$となる整数$~q,r~$がある。
このとき、$\underbrace{x\cdots x}_n=\underbrace{x\cdots x}_r~$なので、$H=\left\{e_G,x,\dots,\underbrace{x\cdots x}_{d-1}\right\}~$である。
$0\le i\lt j\le d-1~$なら、$0\lt j-i\le d-1~$なので、$\underbrace{x\cdots x}_{j-i}=e_G~$なら、$~x~$の位数が$~d~$であることに矛盾する。
よって、$\underbrace{x\cdots x}_{j-i}\neq e_G~$であり、$\underbrace{x\cdots x}_i\neq \underbrace{x\cdots x}_j~$となる。
したがって、$|H|=d~$である。
$$\square$$