群論 (4)生成された部分群
$G~$を群、$S\subset G$を部分集合とする。
$S~$の元$~x_1,\dots,x_n~$を用いて$~{x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n}~$と表される$~G~$の元を $~S~$の元による語という。
ただし、肩の$~s_i~$は$~1~$か$~-1~$のどちらかである($s_i=1~$の場合、${x_i}^1~$は$~x_i~$である)。
単位元$~e_G~$は無条件に$~S~$の元による語とする。
$\langle S\rangle~$を$~S~$の元による語全体の集合とする。
このとき、次がわかる。
命題5
$\langle S\rangle~$は$~G~$の部分群である。
語の定義から、無条件に$~e_G\in\langle S\rangle~$である。
$x,y\in\langle S\rangle~$なら、ある$~x_1,\dots,x_n,y_1,\dots,y_m\in S~$があり、$x={x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n},y={y_1}^{s'_1}\cdots{y_m}^{s'_m}~$と表される。
ただし、各$~s_i,s'_j~$は$~1~$または$~-1~$である。 \begin{align} xy&=({x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n})({y_1}^{s'_1}\cdots{y_m}^{s'_m})\\ &={x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n}{y_1}^{s'_1}\cdots{y_m}^{s'_m} \end{align} は$~S~$の元による語である。
よって、$xy\in\langle S\rangle~$となる。
$x={x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n}\in\langle S\rangle~$の$~G~$での逆元$~x^{-1}~$は、${x_n}^{-s_n}\cdots{x_1}^{-s_1}~$である。
これも$~S~$の元による語となり、$~x^{-1}\in\langle S\rangle~$である。
したがって、$\langle S\rangle~$は$~G~$の部分群である。
$$\square$$
$x,y\in\langle S\rangle~$なら、ある$~x_1,\dots,x_n,y_1,\dots,y_m\in S~$があり、$x={x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n},y={y_1}^{s'_1}\cdots{y_m}^{s'_m}~$と表される。
ただし、各$~s_i,s'_j~$は$~1~$または$~-1~$である。 \begin{align} xy&=({x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n})({y_1}^{s'_1}\cdots{y_m}^{s'_m})\\ &={x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n}{y_1}^{s'_1}\cdots{y_m}^{s'_m} \end{align} は$~S~$の元による語である。
よって、$xy\in\langle S\rangle~$となる。
$x={x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n}\in\langle S\rangle~$の$~G~$での逆元$~x^{-1}~$は、${x_n}^{-s_n}\cdots{x_1}^{-s_1}~$である。
これも$~S~$の元による語となり、$~x^{-1}\in\langle S\rangle~$である。
したがって、$\langle S\rangle~$は$~G~$の部分群である。
$S=\{g_1,\dots,g_n\}~$なら、$\langle\{g_1,\dots,g_n\}\rangle~$の代わりに$~\langle g_1,\dots,g_n\rangle~$ とも書く。
命題6
$H~$が群$~G~$の部分群で$~S~$を含めば、$\langle S\rangle\subset H~$となる。
$G~$を群、$H~$を$~G~$の部分群、$S\subset H~$とする。
$n=0~$に対応する元$~e_G~$は、$H~$が部分群なので$~H~$の元である。
$x_1,\dots,x_n\in S~$なら、$S\subset H~$より$~x_1,\dots,x_n\in H~$である。
よって、${x_1}^{s_1},\dots,{x_n}^{s_n}\in H~$となる。
ただし、各$~s_i,s'_j~$は$~1~$または$~-1~$である。
$H~$は演算について閉じているので、${x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n}\in H~$である。
したがって、$\langle S\rangle\subset H~$となる。
$$\square$$
$n=0~$に対応する元$~e_G~$は、$H~$が部分群なので$~H~$の元である。
$x_1,\dots,x_n\in S~$なら、$S\subset H~$より$~x_1,\dots,x_n\in H~$である。
よって、${x_1}^{s_1},\dots,{x_n}^{s_n}\in H~$となる。
ただし、各$~s_i,s'_j~$は$~1~$または$~-1~$である。
$H~$は演算について閉じているので、${x_1}^{s_1}\cdots{x_n}^{s_n}\in H~$である。
したがって、$\langle S\rangle\subset H~$となる。
命題7
$G~$を群、$S_1\subset S_2\subset G~$を部分集合とする。
このとき、$\langle S_1\rangle\subset\langle S_2\rangle~$である。
$S_2\subset\langle S_2\rangle~$なので、$S_1\subset\langle S_2\rangle~$である。
$\langle S_2\rangle~$は$~G~$の部分群なので、$\langle S_1\rangle\subset\langle S_2\rangle~$となる。
$$\square$$
$\langle S_2\rangle~$は$~G~$の部分群なので、$\langle S_1\rangle\subset\langle S_2\rangle~$となる。