体論 (8)代数閉包
体$~K~$の代数拡大体$~L~$のうち代数閉体となる$~L~$を$~K~$の代数閉包という。
命題33より、$K~$の代数閉包とは$~K~$の代数的拡大体のうち極大なものである。
補題36
任意の体$~K~$に対して、任意の既約多項式$~f(X)\in K[X]~$が根をもつような$~K~$の拡大体が存在する。
$P\subset K[X]~$を既約多項式全体とする。
$(Y_f)_{f(X)\in P}~$を$~P~$によって添え字付けられた変数記号の組とする。
(無限変数)多項式環$~A=K[Y_f]_{f(X)\in P}~$を考える。
$A~$は$~K~$の拡大体である。
各$~f(X)\in P~$に対して、$Y_f\in A~$を代入して$~f(Y_f)\in A~$が得られる。
このような元全体 \[ \{f(Y_f)\mid f(X)\in P\} \] で生成された$~A~$のイデアルを$~\mathfrak{a}~$とする。
$\mathfrak{a}=A~$と仮定して矛盾を導く。
$1\in A=\mathfrak{a}~$より \[ 1 = t_1f_1(Y_{f_1})+\dots+t_nf_n(Y_{f_n}) \] となる$~f_1(X),\dots,f_n(X)\in P,t_1,\dots,t_n\in A~$がある。
また、$f_1(X),\dots,f_n(X)\in K[X]~$は既約多項式なので、命題17を繰り返せば$~f_1(X),\dots,f_n(X)~$の根をもつような$~K~$の拡大体$~L~$がとれる。
つまり、$K~$の拡大体$~L~$があり、 \[ f_1(\alpha_1)=\cdots=f_n(\alpha_n)=0 \] となるような$~\alpha_1\dots,\alpha_n\in L~$をとることができる。
ここで、多項式$~t_1f_1(Y_{f_1})+\dots+t_nf_n(Y_{f_n})~$の各変数$~Y_f~(f(X)\in P)~$に対して、各$~Y_{f_i}~(i=1,\dots,n)~$には$~\alpha_i~$を代入し、それ以外の変数には$~0~$を代入すると、$1=0~$となるので矛盾である。
よって、$\mathfrak{a}~$は$~A~$の真のイデアルである。
可換環論.命題12より、$\mathfrak{a}~$を含む極大イデアル$~\mathfrak{m}\subset A~$がとれる。
$F=A/\mathfrak{m}~$とおけば、$\mathfrak{m}~$が極大なので$~F~$は体となる。
このとき、任意の$~f(X)\in P~$に対して、$f(Y_f)\in\mathfrak{a}\subset\mathfrak{m}~$なので \[ f(\overline{Y_f}) = \overline{f(Y_f)} = \mathfrak{m} \] となる。
(ただし、自然な準同型写像$~A\to F~$によって、$A~$を(特に$~K~$を)$~F~$の部分体とみなしている。)
つまり、$\overline{Y_f}\in F~$は$~f(X)~$の根である。 $$\square$$
$(Y_f)_{f(X)\in P}~$を$~P~$によって添え字付けられた変数記号の組とする。
(無限変数)多項式環$~A=K[Y_f]_{f(X)\in P}~$を考える。
$A~$は$~K~$の拡大体である。
各$~f(X)\in P~$に対して、$Y_f\in A~$を代入して$~f(Y_f)\in A~$が得られる。
このような元全体 \[ \{f(Y_f)\mid f(X)\in P\} \] で生成された$~A~$のイデアルを$~\mathfrak{a}~$とする。
$\mathfrak{a}=A~$と仮定して矛盾を導く。
$1\in A=\mathfrak{a}~$より \[ 1 = t_1f_1(Y_{f_1})+\dots+t_nf_n(Y_{f_n}) \] となる$~f_1(X),\dots,f_n(X)\in P,t_1,\dots,t_n\in A~$がある。
また、$f_1(X),\dots,f_n(X)\in K[X]~$は既約多項式なので、命題17を繰り返せば$~f_1(X),\dots,f_n(X)~$の根をもつような$~K~$の拡大体$~L~$がとれる。
つまり、$K~$の拡大体$~L~$があり、 \[ f_1(\alpha_1)=\cdots=f_n(\alpha_n)=0 \] となるような$~\alpha_1\dots,\alpha_n\in L~$をとることができる。
ここで、多項式$~t_1f_1(Y_{f_1})+\dots+t_nf_n(Y_{f_n})~$の各変数$~Y_f~(f(X)\in P)~$に対して、各$~Y_{f_i}~(i=1,\dots,n)~$には$~\alpha_i~$を代入し、それ以外の変数には$~0~$を代入すると、$1=0~$となるので矛盾である。
よって、$\mathfrak{a}~$は$~A~$の真のイデアルである。
可換環論.命題12より、$\mathfrak{a}~$を含む極大イデアル$~\mathfrak{m}\subset A~$がとれる。
$F=A/\mathfrak{m}~$とおけば、$\mathfrak{m}~$が極大なので$~F~$は体となる。
このとき、任意の$~f(X)\in P~$に対して、$f(Y_f)\in\mathfrak{a}\subset\mathfrak{m}~$なので \[ f(\overline{Y_f}) = \overline{f(Y_f)} = \mathfrak{m} \] となる。
(ただし、自然な準同型写像$~A\to F~$によって、$A~$を(特に$~K~$を)$~F~$の部分体とみなしている。)
つまり、$\overline{Y_f}\in F~$は$~f(X)~$の根である。 $$\square$$
定理37
任意の体$~K~$に対して、$K~$の代数閉包が存在する。
補題36より、任意の既約多項式$~f(X)\in K[X]~$が根をもつような$~K~$の拡大体$~F_1~$がとれる。
同様に、任意の既約多項式$~f(X)\in F_1[X]~$が根をもつような$~K~$の拡大体$~F_2~$がとれる。
これを帰納的に繰り返せば \[ K = F_0 \subset F_1 \subset F_2 \subset \cdots \] と体の拡大の列がとれる。
取り方から明らかなように、各$~i\in\mathbb{N}~$に対して、$F_i$上の既約多項式は$~F_{i+1}~$に根をもつ。
ここで、$\displaystyle F=\bigcup_{i\in\mathbb{N}}F_i~$とおく。
$F~$が体であることは容易に確かめられる。
定数でない多項式$~f(X)\in F[X]~$を任意にとる。
$F[X]~$は一意分解整域なので、$f(X)~$を割り切る既約多項式$~q(X)\in F[X]~$がとれる。
このとき、 \[ q(X) = a_0+\cdots+a_nX^n \] となる$~a_0,\dots,a_n\in F~$がとれる。
$i\in\mathbb{N}~$を十分に大きくとれば、$a_0,\dots,a_n\in F_i~$とできる。
よって、$q(X)\in F_i[X]~$であり、当然$~F_i$上でも既約となる。
したがって、$q(X)~$は根$~\alpha\in F_{i+1}\subset F~$をもつ。
また、$\alpha\in F~$は$~f(X)~$の根でもある。
以上より$~F~$は$~K~$を含む代数閉体であることがわかる。
$F~$の元のうち$~K$上代数的なもの全体を$~L~$とすれば、命題10より$~L~$は$~F/K~$の中間体となる。
また、$L/K~$が代数的拡大であることは明らかである。
定数でない多項式$~f(X)\in L[X]~$を任意にとる。
このとき、$f(X)\in F[X]~$なので根$~\alpha\in F~$がとれる。
$f(X)\in L,f(\alpha)=0~$より$~\alpha~$は$~L$上代数的である。
よって、$L(\alpha)/L~$は代数的拡大となる。
$L/K~$も代数的拡大なので、定理12より$~L(\alpha)/K~$も代数的拡大である。
よって、$\alpha~$は$~K$上代数的なので$~\alpha\in L~$となる。
したがって、$L~$は代数閉体なので、$L~$は$~K~$の代数閉包である。
$$\square$$
同様に、任意の既約多項式$~f(X)\in F_1[X]~$が根をもつような$~K~$の拡大体$~F_2~$がとれる。
これを帰納的に繰り返せば \[ K = F_0 \subset F_1 \subset F_2 \subset \cdots \] と体の拡大の列がとれる。
取り方から明らかなように、各$~i\in\mathbb{N}~$に対して、$F_i$上の既約多項式は$~F_{i+1}~$に根をもつ。
ここで、$\displaystyle F=\bigcup_{i\in\mathbb{N}}F_i~$とおく。
$F~$が体であることは容易に確かめられる。
定数でない多項式$~f(X)\in F[X]~$を任意にとる。
$F[X]~$は一意分解整域なので、$f(X)~$を割り切る既約多項式$~q(X)\in F[X]~$がとれる。
このとき、 \[ q(X) = a_0+\cdots+a_nX^n \] となる$~a_0,\dots,a_n\in F~$がとれる。
$i\in\mathbb{N}~$を十分に大きくとれば、$a_0,\dots,a_n\in F_i~$とできる。
よって、$q(X)\in F_i[X]~$であり、当然$~F_i$上でも既約となる。
したがって、$q(X)~$は根$~\alpha\in F_{i+1}\subset F~$をもつ。
また、$\alpha\in F~$は$~f(X)~$の根でもある。
以上より$~F~$は$~K~$を含む代数閉体であることがわかる。
$F~$の元のうち$~K$上代数的なもの全体を$~L~$とすれば、命題10より$~L~$は$~F/K~$の中間体となる。
また、$L/K~$が代数的拡大であることは明らかである。
定数でない多項式$~f(X)\in L[X]~$を任意にとる。
このとき、$f(X)\in F[X]~$なので根$~\alpha\in F~$がとれる。
$f(X)\in L,f(\alpha)=0~$より$~\alpha~$は$~L$上代数的である。
よって、$L(\alpha)/L~$は代数的拡大となる。
$L/K~$も代数的拡大なので、定理12より$~L(\alpha)/K~$も代数的拡大である。
よって、$\alpha~$は$~K$上代数的なので$~\alpha\in L~$となる。
したがって、$L~$は代数閉体なので、$L~$は$~K~$の代数閉包である。
補題38
$K~$を体、$L,L'~$を$~K~$の代数閉包、$M~$を$~L/K~$の中間体とする。$\varphi:M\to L'~$を$~K$準同型、$\alpha\in L\setminus M~$とする。
このとき、$\varphi~$の拡張$~M(\alpha)\to L'~$が存在する。
$L/K~$が代数的拡大なので、$L/M~$も代数的拡大である。
よって、$\alpha\in L~$は$~M$上代数的である。
$\alpha~$の$~M$上の最小多項式を$~f(X)~$とする。
$L'~$は代数閉体なので、$\hat{f}(X)=\hat{\varphi}(f(X))~$の根$~\beta\in L'~$がとれる。
明らかに$~\hat{f}(X)~$は$~\beta~$の$~M'=\varphi(M)~$上の最小多項式である。
$M\simeq M'~$なので、$M(\alpha)\simeq M[X]/(f(X))\simeq M'[X]/(\hat{f}(X))\simeq M'(\beta])~$となる。
$$\square$$
よって、$\alpha\in L~$は$~M$上代数的である。
$\alpha~$の$~M$上の最小多項式を$~f(X)~$とする。
$L'~$は代数閉体なので、$\hat{f}(X)=\hat{\varphi}(f(X))~$の根$~\beta\in L'~$がとれる。
明らかに$~\hat{f}(X)~$は$~\beta~$の$~M'=\varphi(M)~$上の最小多項式である。
$M\simeq M'~$なので、$M(\alpha)\simeq M[X]/(f(X))\simeq M'[X]/(\hat{f}(X))\simeq M'(\beta])~$となる。
命題39
$K~$を体、$L,L'~$を$~K~$の代数閉包とする。$M,M'~$をそれぞれ$~L/K,L'/K~$の中間体とする。
このとき、任意の$~K$準同型$~\varphi:M\to M'~$に対して、$\varphi~$の$~L~$への拡張が存在する。
$L/M~$の中間体$~F~$と、$\varphi~$の$~L~$への拡張となる$~K$準同型$~\psi:F\to L'~$の組$~(F,\psi)~$全体を$~A~$とおく。
$A$上の関係$~\leq~$を \[ (F,\psi)\le(F',\psi') ~\Longleftrightarrow~ F\subset F' ~かつ~ \psi'\upharpoonright_F=\psi \] で定める。
これが$~A~$上の順序関係になることは容易である。
$\mathcal{C}\subset A~$を任意の鎖とし、$\displaystyle E=\bigcup_{(F,\psi)\in\mathcal{C}}F~$とする。
各$~x\in E~$に対して、$x\in F~$となる$~(F,\psi)\in\mathcal{C}~$がとれるので \[ \sigma(x) = \psi(x) \] となるように$~\sigma:F\to L'~$を定める。
$\mathcal{C}~$の全順序性からこれがwell-definedであることがわかる。
また、$(E,\sigma)\in A~$となることも簡単である。
さらに、$(E,\sigma)~$は$~\mathcal{C}~$の上界となることもわかる。
したがって、Zornの補題から極大元$~(F_0,\psi_0)\in A~$が存在する。
$F_0\neq L~$と仮定して矛盾を導く。
$\alpha\in L\setminus F_0~$がとれる。
補題38より、$\psi_0~$の拡張$~\psi_0':F_0(\alpha)\to L'~$がとれる。
このとき、明らかに$~(F_0(\alpha),\psi_0')\in A~$であり、$(F_0,\psi_0)\le(F_0(\alpha),\psi_0')~$となる。
これは$~(F_0,\psi_0)~$の極大性に矛盾する。
よって、$F_0=L~$である。
$$\square$$
$A$上の関係$~\leq~$を \[ (F,\psi)\le(F',\psi') ~\Longleftrightarrow~ F\subset F' ~かつ~ \psi'\upharpoonright_F=\psi \] で定める。
これが$~A~$上の順序関係になることは容易である。
$\mathcal{C}\subset A~$を任意の鎖とし、$\displaystyle E=\bigcup_{(F,\psi)\in\mathcal{C}}F~$とする。
各$~x\in E~$に対して、$x\in F~$となる$~(F,\psi)\in\mathcal{C}~$がとれるので \[ \sigma(x) = \psi(x) \] となるように$~\sigma:F\to L'~$を定める。
$\mathcal{C}~$の全順序性からこれがwell-definedであることがわかる。
また、$(E,\sigma)\in A~$となることも簡単である。
さらに、$(E,\sigma)~$は$~\mathcal{C}~$の上界となることもわかる。
したがって、Zornの補題から極大元$~(F_0,\psi_0)\in A~$が存在する。
$F_0\neq L~$と仮定して矛盾を導く。
$\alpha\in L\setminus F_0~$がとれる。
補題38より、$\psi_0~$の拡張$~\psi_0':F_0(\alpha)\to L'~$がとれる。
このとき、明らかに$~(F_0(\alpha),\psi_0')\in A~$であり、$(F_0,\psi_0)\le(F_0(\alpha),\psi_0')~$となる。
これは$~(F_0,\psi_0)~$の極大性に矛盾する。
よって、$F_0=L~$である。
定理40
$K~$を体、$L,L'~$を$~K~$の代数閉包とする。このとき、$L\simeq L'~$である。
命題39において、$M=K,M'=K~$とし$~\varphi:K\to K~$を恒等写像とすれば、$K$準同型$~\varphi:L\to L'~$がとれる。
$M=\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits\varphi~$とおき、$f(X)\in M[X]\setminus M~$を任意にとる。
このとき、 \[ f(X) = b_0+\cdots+b_nX^n \] となる$~b_0,\dots,b_n\in M~$がある。
$b_0,\dots,b_n\in M=\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits\varphi~$より、各$~i=1,\dots,n~$について$~\varphi(a_i)=b_i~$となる$~a_i\in L~$がとれる。
\[ g(X) = a_0+\cdots+a_nX^n \] とおけば、$g(X)\in L[X]~$であり、明らかに$~g(X)~$は定数ではない。
$L~$は代数閉体なので、$g(X)~$の根$~\alpha\in L~$が存在する。
このとき、 \begin{align} f(\varphi(\alpha)) &= b_0+\cdots+b_n(\varphi(\alpha))^n\\ &= \varphi(a_0)+\cdots+\varphi(a_n)(\varphi(\alpha))^n\\ &= \varphi(a_0+\cdots+a_n\alpha^n)\\ &= \varphi(g(\alpha))\\ &= \varphi(0)\\ &= 0 \end{align} となるので、$\varphi(\alpha)\in M~$は$~f(X)~$の根となる。
よって、$M~$は代数閉体である。
$M~$は$~L'/K~$の中間体であり、$L'/K~$が代数的拡大なので$~L'/M~$も代数的拡大となる。
$M~$は代数閉体であり、$L'/M~$が代数的拡大なので、命題33より$~M=L'~$となる。
よって、$\varphi:L\to L'~$は全射である。
体からの環準同型は単射なので、$\varphi~$は単射である。
つまり、$\varphi:L\to L'~$は$~K$同型写像となる。
$$\square$$
$M=\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits\varphi~$とおき、$f(X)\in M[X]\setminus M~$を任意にとる。
このとき、 \[ f(X) = b_0+\cdots+b_nX^n \] となる$~b_0,\dots,b_n\in M~$がある。
$b_0,\dots,b_n\in M=\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits\varphi~$より、各$~i=1,\dots,n~$について$~\varphi(a_i)=b_i~$となる$~a_i\in L~$がとれる。
\[ g(X) = a_0+\cdots+a_nX^n \] とおけば、$g(X)\in L[X]~$であり、明らかに$~g(X)~$は定数ではない。
$L~$は代数閉体なので、$g(X)~$の根$~\alpha\in L~$が存在する。
このとき、 \begin{align} f(\varphi(\alpha)) &= b_0+\cdots+b_n(\varphi(\alpha))^n\\ &= \varphi(a_0)+\cdots+\varphi(a_n)(\varphi(\alpha))^n\\ &= \varphi(a_0+\cdots+a_n\alpha^n)\\ &= \varphi(g(\alpha))\\ &= \varphi(0)\\ &= 0 \end{align} となるので、$\varphi(\alpha)\in M~$は$~f(X)~$の根となる。
よって、$M~$は代数閉体である。
$M~$は$~L'/K~$の中間体であり、$L'/K~$が代数的拡大なので$~L'/M~$も代数的拡大となる。
$M~$は代数閉体であり、$L'/M~$が代数的拡大なので、命題33より$~M=L'~$となる。
よって、$\varphi:L\to L'~$は全射である。
体からの環準同型は単射なので、$\varphi~$は単射である。
つまり、$\varphi:L\to L'~$は$~K$同型写像となる。
よって、これを$~\overline{K}~$と表す。
定理41
体の代数的拡大$~L/K~$に対して、$\overline{L}\simeq\overline{K}~$となる。
$\overline{L}/L,L/K~$は代数的拡大なので$~\overline{L}/K~$も代数的拡大である。
また、$\overline{L}~$は代数閉体なので、定理40から$~\overline{L}\simeq\overline{K}~$となる。
$$\square$$
また、$\overline{L}~$は代数閉体なので、定理40から$~\overline{L}\simeq\overline{K}~$となる。
さらに、定理39の同型は等号$~\overline{L}=\overline{K}~$とみなす。
これによって、体$~K~$の代数閉包は$~K~$の代数的拡大体をすべて含むことがわかる。
つまり、代数閉包は代数的拡大体のうち最大のものである。
命題42
$L/K,L'/K~$を体の代数的拡大とする。任意の$~\varphi:L\to L'~$に対して、$\varphi~$の拡張となる$~K$同型$~\psi:\overline{K}\to\overline{K}~$が存在する。
$L,L'~$は$~\overline{K}/K~$の中間体とみなすので、命題39より$~\varphi~$の拡張となる$~K$準同型$~\psi:\overline{K}\to\overline{K}~$がある。
定理32より$~\overline{K}/K~$は正規拡大で、定理30より$~\psi\in\mathop{\mathrm{Hom}^{\mathrm{al}}_{K}}\nolimits(\overline{K},\overline{K})=\mathrm{Aut}(\overline{K}/K)~$となる。
$$\square$$
定理32より$~\overline{K}/K~$は正規拡大で、定理30より$~\psi\in\mathop{\mathrm{Hom}^{\mathrm{al}}_{K}}\nolimits(\overline{K},\overline{K})=\mathrm{Aut}(\overline{K}/K)~$となる。