実数 (7)実数の絶対値
任意の$~x\in\mathbb{R}~$に対して、 $$ |x|:=\left\{ \begin{array}{l} x & (x\gt0)\\ 0 & (x=0)\\ -x & (x\lt0) \end{array} \right. $$ となるように定める。 この$~|x|~$を$~x~$の絶対値という。
$(1)~$
$x\gt0~$なら$~|x|=x\gt0~$となる。
$x=0~$なら$~|x|=0~$である。
$x\lt0~$なら$|x|=-x\gt0~$となる。
$(2)~$
絶対値の定義から明らかである。
$(3)~$
$x\ge0~$のときは$~x=|x|~$である。
$x\lt0~$のときは$~x\lt-x=|x|~$となる。
$(4)~$
$x\gt0~$なら$~-x\lt0~$なので、
$$
|-x|=-(-x)=x=|x|
$$
となる。
$x=0~$なら$~-0=0~$であることから明らか。
$x\lt0~$なら$~-x\gt0~$なので、
$$
|-x|=-x=|x|
$$
となる。
$(1)~$
$x=0~$または$~y=0~$のとき、$|x|=0~$または$~|y|=0~$である。
よって、$|x\cdot y|=|0|=0=|x|\cdot|y|~$となる。
$x\gt0,y\gt0~$のとき$~x\cdot y\gt0~$なので$~|x\cdot y|=x\cdot y=|x|\cdot|y|~$となる。
$x\gt0,y\lt0~$のとき$~x\cdot y\lt0~$なので$~|x\cdot y|=-(x\cdot y)=x\cdot(-y)=|x|\cdot|y|~$となる。
$x\lt0,y\gt0~$のとき$~x\cdot y\lt0~$なので$~|x\cdot y|=-(x\cdot y)=(-x)\cdot y=|x|\cdot|y|~$となる。
$x\lt0,y\lt0~$のとき$~x\cdot y\gt0~$なので$~|x\cdot y|=x\cdot y=(-x)\cdot(-y)=|x|\cdot|y|~$となる。
$(2)~$ $y\cdot\cfrac{x}{y}=x~$なので、$(1)$より $$ |y|\cdot\left|\cfrac{x}{y}\right|=|x| $$ が得られ、両辺に$~|y|^{-1}~$をかければ $$ \left|\frac{x}{y}\right|=\frac{|x|}{|y|} $$ となる。
$(3)~$ $x\le|x|,y\lt|y|~$なので $$ x+y\le|x|+|y| $$ である。 また、$-x\le|x|,-y\le|y|~$なので $$ -(x+y)\le|x|+|y| $$ となる。 $|x+y|~$は$~x+y~$と$~-(x+y)~$のどちらかなので $$ |x+y|\le|x|+|y| $$ である。
$(4)~$ $(3)~$より $$ |x-y|=|x+(-y)|\le|x|+|-y|=|x|+|y| $$ となる。
$(5)~$ $(4)~$より $$ |x|=|(x+y)-y|\le|x+y|+|y| $$ となるので、$|x|-|y|\le|x+y|~$である。
$(6)~$ $(3)~$より $$ |x|=|(x-y)+x|\le|x-y|+|y| $$ となるので、$|x|-|y|\le|x-y|~$である。