実数 (1)有理数列
集合$~X~$に対して、$\mathbb{N}~$から$~X~$への写像を$~X~$の元の列という。
\[ f:\mathbb{N}\longrightarrow X~;~n\longmapsto f(n) \] に対して、$x_n=f(n)~$とおき、$f~$を$~\{x_n\}_{n\in\mathbb{N}},\{x_n\}_{n=0}^{\infty},\{x_n\}~$などと表す。
($\{~\}$の代わりに$(~)$を用いる場合もある。)
特に、$X~$が$~\mathbb{N},\mathbb{Z},\mathbb{Q}~$などの数の集合であるときは$~\{x_n\}~$を数列という。
さらに、$\mathbb{N},\mathbb{Z},\mathbb{Q}~$の数列はそれぞれ自然数列、整数列、有理数列という。
$\mathbb{Q}_{\gt}=\{q\in\mathbb{Q}\mid q\gt0\}~$とおく。
有理数列$~\{a_n\}~$が
$\mathbb{Q}~$のCauchy列全体の集合を$~\mathcal{C}~$とする。
$(1)~$
$\varepsilon\in\mathbb{Q}_{\gt}~$を任意にとる。
$\{a_n\},\{b_n\}\in\mathcal{C}~$なので、ある$~N_1,N_2\in\mathbb{N}~$が存在し
\begin{align}
&m,n\ge N_1\Longrightarrow|a_m-a_n|\lt\frac{\varepsilon}{2}\\
&m,n\ge N_2\Longrightarrow|b_m-b_n|\lt\frac{\varepsilon}{2}
\end{align}
を満たす。
このとき、$N=\max{\{N_1,N_2\}}~$とすると
$(2)~$
$\varepsilon\in\mathbb{Q}_{\gt}~$を任意にとる。
$\{a_n\}\in\mathcal{C}~$なので、ある$~N\in\mathbb{N}~$が存在し
\[
m,n\ge N\Longrightarrow|a_m-a_n|\lt\varepsilon
\]
を満たす。
このとき、
\begin{align}
m,n\ge N\Longrightarrow|(-a_m)-(-a_n)|&=|-(a_m-a_n)|\\
&=|a_m-a_n|\\
&\lt\varepsilon
\end{align}
となる。
任意に$~\varepsilon\in\mathbb{Q}_{\gt}~$をとる。
$\{a_n\},\{b_n\}\in\mathcal{C}~$より、ある$~N_1,N_2\in\mathbb{N}~$があり \begin{align} &m,n\ge N_1\Longrightarrow|a_m-a_n|\lt\frac{\varepsilon}{2M_2}\\ &m,n\ge N_2\Longrightarrow|b_m-b_n|\lt\frac{\varepsilon}{2M_1} \end{align} となる。 $N=\max{\{N_1,N_2\}}~$とすると
同様にして、$(1)$と$(3)$も同時には成り立たない。
$(2),(3)$の$~q~$としてそれぞれ$~q,q'~$がとれたとすると、$-q'\lt0\lt q~$であるので$(2)$と$(3)$も両立しない。
任意に$~\{a_n\}\in\mathcal{C}~$をとり、$(2),(3)$がともに成り立っていないとする。
つまり
任意に$~\varepsilon\in\mathbb{Q}_{\gt}~$をとる。
$\{a_n\}\in\mathcal{C}~$なので、ある$~N\in\mathbb{N}~$があり \[ m,n\ge N\Longrightarrow|a_m-a_n|\lt\frac{\varepsilon}{2} \] が成り立つ。
また、$(2)',(3)'$よりある$~n_1,n_2\in\mathbb{N}~$があり \begin{align} &n_1\ge N~かつ~a_{n_1}\lt\frac{\varepsilon}{2}\\ &n_2\ge N~かつ~a_{n_2}\gt-\frac{\varepsilon}{2} \end{align} となる。
よって、$n\gt N~$とすれば
よって、$(1)$が成り立つ。
したがって、$(1),(2),(3)$のいずれかが成り立つ。