整数 (7)絶対値
任意の$~n\in\mathbb{Z}~$に対して、 $$ |n|:=\left\{ \begin{array}{l} n & (n\gt0)\\ 0 & (n=0)\\ -n & (n\lt0) \end{array} \right. $$ となるように定める。 この$~|n|~$を$~n~$の絶対値という。
$(1)~$
$n\gt0~$なら$~|n|=n\gt0~$となる。
$n=0~$なら$~|n|=0~$である。
$n\lt0~$なら定理20$(6)(\mathrm{c})$より、$|n|=-n\gt0~$となる。
$(2)~$
絶対値の定義と定理20$(5)$から明らかである。
$(3)~$
$n\ge0~$のときは$~n=|n|~$である。
$n\lt0~$のときは$~n\lt0\lt-n=|n|~$となる。
$(4)~$
$n\gt0~$なら$~-n\lt0~$なので、
\[
|-n|=-(-n)=n=|n|
\]
となる。
$n=0~$なら$~-0=0~$であることから明らか。
$n\lt0~$なら$~-n\gt0~$なので、
\[
|-n|=-n=|n|
\]
となる。
$(1)~$
$m=0~$または$~n=0~$のとき、$|m|=0~$または$~|n|=0~$である。
よって、$|mn|=|0|=0=|m|\cdot|n|~$となる。
$m\gt0,n\gt0~$のとき$~mn\gt0~$なので$~|mn|=mn=|m|\cdot|n|~$となる。
$m\gt0,n\lt0~$のとき$~mn\lt0~$なので$~|mn|=-(mn)=m\cdot(-n)=|m|\cdot|n|~$となる。
$m\lt0,n\gt0~$のとき$~mn\lt0~$なので$~|mn|=-(mn)=(-m)\cdot n=|m|\cdot|n|~$となる。
$m\lt0,n\lt0~$のとき$~mn\gt0~$なので$~|mn|=mn=(-m)\cdot(-n)=|m|\cdot|n|~$となる。
$(2)~$ $m\le|m|,n\lt|n|~$なので \[ m+n\le|m|+|n| \] である。 また、$-m\le|m|,-n\le|n|~$なので \[ -(m+n)\le|m|+|n| \] となる。 $|m+n|~$は$~m+n~$と$~-(m+n)~$のどちらかなので \[ |m+n|\le|m|+|n| \] である。
$(3)~$ $(2)~$より \[ |m-n|=|m+(-n)|\le|m|+|-n|=|m|+|n| \] となる。
$(4)~$ $(3)~$より \[ |m|=|(m+n)-n|\le|m+n|+|n| \] となるので、$|m|-|n|\le|m+n|~$である。
$(5)~$ $(2)~$より \[ |m|=|(m-n)+n|\le|m-n|+|n| \] となるので、$|m|-|n|\le|m-n|~$である。