有理数 (7)有理数の絶対値
任意の$~q\in\mathbb{Q}~$に対して、 \[ |q|:=\left\{ \begin{array}{l} q & (q\gt0)\\ 0 & (q=0)\\ -q & (q\lt0) \end{array} \right. \] となるように定める。 この$~|q|~$を$~q~$の絶対値という。
$(1)~$
$q\gt0~$なら$~|q|=q\gt0~$となる。
$q=0~$なら$~|q|=0~$である。
$q\lt0~$なら定理17$(5)(\mathrm{d})$より、$|q|=-q\gt0~$となる。
$(2)~$
絶対値の定義と定理17$(4)$から明らかである。
$(3)~$
$q\ge0~$のときは$~q=|q|~$である。
$q\lt0~$のときは$~q\lt0\lt-q=|q|~$となる。
$(4)~$
$q\gt0~$なら$~-q\lt0~$なので、
$$
|-q|=-(-q)=q=|q|
$$
となる。
$q=0~$なら$~-0=0~$であることから明らか。
$q\lt0~$なら$~-q\gt0~$なので、
$$
|-q|=-q=|q|
$$
となる。
$(1)~$
$p=0~$または$~q=0~$のとき、$|p|=0~$または$~|q|=0~$である。
よって、$|pq|=|0|=0=|p|\cdot|q|~$となる。
$p\gt0,q\gt0~$のとき$~pq\gt0~$なので$~|pq|=pq=|p|\cdot|q|~$となる。
$p\gt0,q\lt0~$のとき$~pq\lt0~$なので$~|pq|=-(pq)=p\cdot(-q)=|p|\cdot|q|~$となる。
$p\lt0,q\gt0~$のとき$~pq\lt0~$なので$~|pq|=-(pq)=(-p)q=|p|\cdot|q|~$となる。
$p\lt0,q\lt0~$のとき$~pq\gt0~$なので$~|pq|=pq=(-p)\cdot(-q)=|p|\cdot|q|~$となる。
$(2)~$ $q\cdot\cfrac{p}{q}=p~$なので、$(1)$より $$ |q|\cdot\left|\cfrac{p}{q}\right|=|p| $$ が得られ、両辺に$~\dfrac{1}{|q|}~$をかければ $$ \left|\frac{p}{q}\right|=\frac{|p|}{|q|} $$ となる。
$(3)~$ $p\le|p|,q\lt|q|~$なので $$ p+q\le|p|+|q| $$ である。 また、$-p\le|p|,-q\le|q|~$なので $$ -(p+q)\le|p|+|q| $$ となる。 $|p+q|~$は$~p+q~$と$~-(p+q)~$のどちらかなので $$ |p+q|\le|p|+|q| $$ である。
$(4)~$ $(3)~$より $$ |p-q|=|p+(-q)|\le|p|+|-q|=|p|+|q| $$ となる。
$(5)~$ $(4)~$より $$ |p|=|(p+q)-q|\le|p+q|+|q| $$ となるので、$|p|-|q|\le|p+q|~$である。
$(6)~$ $(3)~$より $$ |p|=|(p-q)+q|\le|p-q|+|q| $$ となるので、$|p|-|q|\le|p-q|~$である。