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指数関数 (6)対数関数


定理21
$r\in\mathbb{R}_\gt,r\neq1$とする。
このとき、指数関数$~\mathbb{R}\to\mathbb{R}_\gt~;~x\mapsto r^x~$は全単射である。

補題14より単射性は明らかである。

まず、$r\gt1~$の場合において、指数関数の全射性を示す。
$t\in\mathbb{R}_\gt~$を任意にとり、 \[ A=\{x\in\mathbb{R}\mid r^x\lt t\} \] とおく。
定理20(2)より、$r^b\lt t~$となる$~b\in\mathbb{R}$がとれる。
よって、$b\in A~$となるので$~A~$は空ではない。
また、定理20(2)から \[ {}^{\forall}x\in\mathbb{R},x\gt c\Longrightarrow r^x\gt t \] となるような$~c\in\mathbb{R}~$がとれる。
これより、$A~$は上に有界であることがわかる。
実数の連続性より、$A~$は上限$~\alpha=\sup{A}~$をもつ。
実数論.命題9より、$\alpha~$に収束する$~A~$の元の列$~\{a_n\}_{n\in\mathbb{N}}~$がとれる。
${}^{\forall}n\in\mathbb{N},r^{a_n}\lt t~$が成り立ち、$\{r^{a_n}\}~$は$~r^\alpha~$に収束するので、$r^\alpha\le t~$となる。
また、上限の性質から、任意の$~n\in\mathbb{N}~$に対して$~b_n=\alpha+\dfrac{1}{n+1}\notin A~$である。
よって、${}^{\forall}n\in\mathbb{N},r^{b_n}\ge t~$となる。
さらに、$\{b_n\}~$は$~\alpha~$に収束するので、$\{r^{b_n}\}~$は$~r^\alpha~$に収束する。
したがって、$r^\alpha\ge t~$となる。
以上より、$r^\alpha=t~$となる。

$r\lt1~$のときは、$\dfrac{1}{r}\gt1~$となり上の議論に帰着される。
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 指数関数$~\mathbb{R}\to\mathbb{R}_{\gt}~;~x\mapsto r^x~$の逆関数 $$ \mathbb{R}_{\gt}\longrightarrow\mathbb{R}~;~r^x\longmapsto x $$ を対数関数といい、$x\in\mathbb{R}_{\gt}~$の値を$~\log_rx~$と書く。
またこのとき、$r\in\mathbb{R}_{\gt}~$を対数関数のという。

定理22
任意の$~r,s,x,y\in\mathbb{R}_{\gt}~$に対して、次が成り立つ。 \begin{align} (1)&~\log_rx+\log_ry=\log_r(xy)\\ (2)&~x\log_ry=\log_r(y^x)\\ (3)&~\log_rx=\log_rs\cdot\log_sx \end{align}

$(1)~$ 定理18より、 \begin{split} r^{\log_rx+\log_ry}&=r^{\log_rx}\cdot r^{\log_ry}\\ &=xy\\ &=r^{\log_r(xy)} \end{split} であり、指数関数は単射なので、$\log_rx+\log_ry=\log_r(xy)~$である。

$(2)~$ 定理18より、 \begin{split} r^{x\log_ry}&=(r^{\log_ry})^x\\ &=y^x\\ &=r^{\log_r(y^x)} \end{split} であり、指数関数は単射なので、$x\log_ry=\log_r(y^x)~$である。

$(3)~$ 定理18より、 \begin{split} r^{\log_rs\cdot\log_sx}&=(r^{\log_rs})^{\log_sx}\\ &=s^{\log_sx}\\ &=x\\ &=r^{\log_rx} \end{split} であり、指数関数は単射なので、$\log_rs\cdot\log_sx=\log_rx~$である。

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定理23
任意の$~r\in\mathbb{R}_{\gt}~$に対して、次が成り立つ。 \begin{align} (1)&~r\lt1~なら~\lim_{x\to\infty}\log_rx=-\infty,\lim_{x\to+0}\log_rx=\infty\\ (2)&~r\gt1~なら~\lim_{x\to\infty}\log_rx=\infty,\lim_{x\to+0}\log_rx=-\infty \end{align}

$(1)~$ 任意に$~M\in\mathbb{R}~$をとる。
このとき、$x\gt r^M~$とすれば$~\log_rx\lt M~$となる。

任意に$~M\in\mathbb{R}~$をとる。
このとき、$x\lt r^M~$とすれば$~\log_rx\gt M~$である。

$(2)~$ 任意に$~M\in\mathbb{R}~$をとる。
このとき、$x\gt r^M~$とすれば$~\log_rx\gt M~$となる。

任意に$~M\in\mathbb{R}~$をとる。
このとき、$x\lt r^M~$とすれば$~\log_rx\lt M~$である。

$$\square$$