指数関数 (1)整数乗
$r\in \mathbb{R}~$を任意にとり、写像$~\varphi:\mathbb{R}\to\mathbb{R}~$を$~\varphi(x)=r\cdot x~$で定める。
このとき、自然数.定理1より \begin{align} (\mathrm{i})&~f(0)=r\\ (\mathrm{ii})&~f(n+1)=r\cdot f(n) \end{align} を満たす写像$~f:\mathbb{N}\to\mathbb{R}~$がただ1つ存在する。
ここで、各$~n\in\mathbb{Z}_{\gt}~$に対して \[ r^n=f(n-1) \] と定める。
つまり、$r^n~$は \begin{align} (\mathrm{i})&~r^1=r\\ (\mathrm{ii})&~r^{n+1}=r\cdot r^n \end{align} と再帰的に定められる関数である。
$(1)~$
$r^m\cdot r^1=r\cdot r^m=r^{m+1}~$となるので、$n=1~$のときは成り立つ。
$n=k~$のとき、$r^m\cdot r^k=r^{m+k}~$が成り立つと仮定する。
このとき、
$$
r^m\cdot r^{k+1}=r^m\cdot r^k\cdot r^1=r^{m+k}\cdot r^1=r^{m+(k+1)}
$$
となり、$n=k+1~$のときも成り立つ。
帰納法によりすべての$~n\in\mathbb{Z}_{\gt}~$について$~r^m\cdot r^n=r^{m+n}~$となる。
$(2)~$
$(r^m)^1=r^m=r^{m\cdot1}~$となるので、$n=1~$のときは成り立つ。
$n=k~$のとき、$(r^m)^k=r^{m\cdot k}~$が成り立つと仮定する。
このとき、
$$
(r^m)^{k+1}=(r^m)^k\cdot (r^m)^1=r^{m\cdot k}\cdot r^m=r^{m\cdot(k+1)}
$$
となり、$n=k+1~$のときも成り立つ。
帰納法によりすべての$~n\in\mathbb{Z}_{\gt}~$について$~(r^m)^n=r^{m\cdot n}~$となる。
$(3)~$
$(r\cdot s)^1=r\cdot s=r^1\cdot s^1~$となるので、$n=1~$のときは成り立つ。
$n=k~$のとき、$(r\cdot s)^k=r^k\cdot s^k~$が成り立つと仮定する。
このとき、
\begin{split}
(r\cdot s)^{k+1}&=(r\cdot s)\cdot(r\cdot s)^k\\
&=(r\cdot s)\cdot(r^k\cdot s^k)\\
&=(r\cdot r^k)\cdot(s\cdot s^k)\\
&=r^{k+1}\cdot s^{k+1}
\end{split}
となり、$n=k+1~$のときも成り立つ。
帰納法によりすべての$~n\in\mathbb{Z}_{\gt}~$について$~(r\cdot s)^n=r^n\cdot s^n~$となる。
$r\in\mathbb{R}\setminus\{0\},n\in\mathbb{Z}~$に対して、 \[ r^n=\left\{ \begin{array}{ll} r^n & (n\gt0)\\ 1 & (n=0)\\ \left(\cfrac{1}{r}\right)^{-n} & (n\lt0) \end{array} \right. \] となるように$~r^n~$を定義する。
$(1)~$ $n\gt0~$のとき、 $$ r^n\cdot r^1=r^{n+1} $$ $n=0~$のとき、 $$ r^n\cdot r^1=1\cdot r=r^{0+1}=r^{n+1} $$ $n\lt0~$のとき、 $$ r^n\cdot r^1=\left(\frac{1}{r}\right)^{-n}\cdot\left(\frac{1}{r}\right)^{-1}=\left(\frac{1}{r}\right)^{-n-1}=r^{n+1} $$ となるので、 $$ r^n\cdot r^1=r^{n+1} $$ が成り立つ。
$(2)~$ $n\gt1~$のとき、 $$ r^n\cdot r^{-1}=r^{n-1}\cdot r^1\cdot\frac{1}{r}=r^{n-1} $$ $n=1~$のとき、 $$ r^n\cdot r^{-1}=r\cdot\frac{1}{r}=1=r^{1-1}=r^{n-1} $$ $n=0~$のとき、 $$ r^n\cdot r^{-1}=1\cdot\frac{1}{r}=r^{0-1}=r^{n-1} $$ $n\lt0~$のとき、 $$ r^n\cdot r^{-1}=\left(\frac{1}{r}\right)^{-n}\cdot\frac{1}{r}=\left(\frac{1}{r}\right)^{-n+1}=r^{n-1} $$ となるので、 $$ r^n\cdot r^{-1}=r^{n-1} $$ が成り立つ。
$(1)~$
$r^m\cdot r^0=r^m\cdot1=r^m=r^{m+0}~$となるので、$n=0~$のときは成り立つ。
$n=k~$のとき、$r^m\cdot r^k=r^{m+k}~$が成り立つと仮定する。
このとき、
\begin{align}
&r^m\cdot r^{k+1}=r^m\cdot(r^k\cdot r^1)=r^{m+k}\cdot r^1=r^{m+(k+1)}\\
&r^m\cdot r^{k-1}=r^m\cdot(r^k\cdot r^{-1})=r^{m+k}\cdot r^{-1}=r^{m+(k-1)}
\end{align}
となり、$n=k+1,k-1~$のときも成り立つ。
よって、すべての$~n\in\mathbb{Z}~$について$~r^m\cdot r^n=r^{m+n}~$となる。
$(2)~$
$(r^m)^1=r^m=r^{m\cdot1}~$となるので、$n=1~$のときは成り立つ。
$n=k~$のとき、$(r^m)^k=r^{m\cdot k}~$が成り立つと仮定する。
このとき、
\begin{align}
&(r^m)^{k+1}=(r^m)^k\cdot (r^m)^1=r^{m\cdot k}\cdot r^m=r^{m\cdot(k+1)}\\
&(r^m)^{k-1}=(r^m)^k\cdot (r^m)^{-1}=r^{m\cdot k}\cdot\frac{1}{r^m}=r^{m\cdot(k-1)}
\end{align}
となり、$n=k+1,k-1~$のときも成り立つ。
よって、すべての$~n\in\mathbb{Z}~$について$~(r^m)^n=r^{m\cdot n}~$となる。
$(3)~$
$(r\cdot s)^{-1}=\cfrac{1}{r\cdot s}=\cfrac{1}{r}\cdot\cfrac{1}{s}=r^{-1}\cdot
s^{-1}~$となるので、$n=-1~$のときは成り立つ。
$n=k~$のとき、$(r\cdot s)^k=r^k\cdot s^k~$が成り立つと仮定する。
このとき、
\begin{split}
(r\cdot s)^{k+1}&=(r\cdot s)^k\cdot(r\cdot s)^1\\
&=(r^k\cdot s^k)\cdot(r\cdot s)\\
&=(r^k\cdot r)\cdot(s^k\cdot s)\\
&=r^{k+1}\cdot s^{k+1}
\end{split}
\begin{split}
(r\cdot s)^{k-1}&=(r\cdot s)^k\cdot(r\cdot s)^{-1}\\
&=(r^k\cdot s^k)\cdot(r^{-1}\cdot s^{-1})\\
&=(r^k\cdot r^{-1})\cdot(s^k\cdot s^{-1})\\
&=r^{k-1}\cdot s^{k-1}
\end{split}
となり、$n=k+1,k-1~$のときも成り立つ。
帰納法によりすべての$~n\in\mathbb{Z}~$について$~(r\cdot s)^n=r^n\cdot s^n~$となる。
$(1)~$
まず、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}|r|^n=0~$を示す。
すべての$~n\in\mathbb{N}~$について$~|r|^n\gt0~$であるので、$\{|r|^n\}_{n\in\mathbb{N}}~$は下に有界である。
また、$|r|\lt1~$より、すべての$~n\in\mathbb{N}~$について$~|r|^n\gt|r|^{n+1}~$となるので、$\{|r|^n\}_{n\in\mathbb{N}}~$は単調減少列である。
よって、実数列$~\{|r|^n\}_{n\in\mathbb{N}}~$はある実数に収束する。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}|r|^n=\alpha\neq0~$と仮定して矛盾を導く。
このとき、${}^{\forall}n\in\mathbb{N},|r|^n\gt0~$より、$\alpha\ge0~$である。
仮定より、$\eta=\cfrac{1-|r|}{1+|r|}\cdot\alpha\gt0~$に対して、ある$~N'\in\mathbb{N}~$があり、
\begin{split}
n\gt N'&\Longrightarrow||r|^n-\alpha|\lt\eta\\
&\Longleftrightarrow\alpha-\eta\lt|r|^n\lt\alpha+\eta
\end{split}
となる。
しかし、$n\gt N'~$のとき
\begin{split}
|r|^n\lt\alpha+\eta\Longrightarrow|r|^{n+1}&\lt|r|\cdot(\alpha+\eta)\\
&=\frac{2\cdot|r|}{1+|r|}\cdot\alpha\\
&=\alpha-\eta
\end{split}
となり、$||r|^{n+1}-\alpha|\lt\eta~$であるべきことに矛盾する。
よって、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}|r|^n=0~$である。
$\varepsilon\in\mathbb{R}_{\gt}~$を任意にとる。
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}|r|^n=0~$より、ある$~N\in\mathbb{N}~$があり、
$$
n\gt N\Longrightarrow||r|^n|=||r||^n=|r|^n\lt\varepsilon
$$
となる。
このとき、
$$
n\gt N\Longrightarrow|r^n|=|r|^n\lt\varepsilon
$$
となるので、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}r^n=0~$となる。
$(2)~$
$\left|\cfrac{1}{r}\right|=\cfrac{1}{|r|}\lt1~$なので、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(\frac{1}{r}\right)^n=0~$である。
よって、任意の$~R\in\mathbb{R}_{\gt}~$に対して、ある$~N\in\mathbb{N}~$があり、
$$
n\gt N\Longrightarrow\left|\left(\frac{1}{r}\right)^n\right|\lt\frac{1}{R}
$$
となる。
$\left|\left(\cfrac{1}{r}\right)^n\right|=\cfrac{1}{|r^n|}~$なので、
$$
n\gt N\Longrightarrow|r^n|\gt R
$$
となる。
よって、実数列$~\{|r^n|\}_{n\in\mathbb{N}}~$は発散する。
したがって、実数列$~\{r^n\}_{n\in\mathbb{N}}~$は収束しない。
また、$r\gt1~$とすると、
$$
{}^{\forall}n\in\mathbb{N},r^n\lt r^{n+1}
$$
が成り立つ。
よって、$\{r^n\}_{n\in\mathbb{N}}~$は収束しない単調増加列なので発散する。