環上の加群 (5)像・核・余核
$A~$を環、$M,N~$を左$A$加群、$f:M\to N~$を$A$準同型とする。
このとき、 \begin{align} \mathop{\mathrm{Im}}\nolimits f &= \{f(x) \mid x\in M\}\\ \mathop{\mathrm{Ker}}\nolimits f &= \{x\in M \mid f(x)=0\} \end{align} と定め、それぞれ$~f~$の像、核という。
このとき、次が成り立つ。
$(1)~$ $\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits f~$は$~N~$の部分$A$加群である。
$(2)~$ $\mathop{\mathrm{Ker}}\nolimits f~$は$~M~$の部分$A$加群である。
$(1)~$
$\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits f~$は$~N~$の部分群である。
任意に$~a\in A,y\in\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits f~$をとる。
$y=f(x)~$となる$~x\in M~$がとれる。
このとき、
\[
ay = af(x) = f(ax)
\]
となるので、$ay\in\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits f~$である。
$(2)~$
$\mathop{\mathrm{Ker}}\nolimits f~$は$~M~$の部分群である。
任意に$~a\in A,x\in\mathop{\mathrm{Ker}}\nolimits f~$をとる。
このとき、
\[
f(ax) = af(x) = a0 = 0
\]
となるので、$ax\in\mathop{\mathrm{Ker}}\nolimits f~$である。
$A~$を環、$M,N~$を左$A$加群、$f:M\to N~$を$A$準同型とする。
このとき、$\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits f~$は$~N~$の部分$A$加群なので$~N/\mathop{\mathrm{Im}}\nolimits f~$は剰余加群となる。
これを$~f~$の余核といい、$\mathop{\mathrm{Coker}}\nolimits f~$と書く。