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環上の加群 (2)部分加群


 $M~$を左$A$加群とする。
部分群$~N\subset M~$が同様に$~A$上の左加群となるとき、$N~$を$~M~$の部分$A$加群という。
また、$A~$が斜体なら部分空間という。

命題2
$A~$を環、$M~$を左$A$加群とする。
部分群$~N\subset M~$が$~M~$の部分$A$加群であることと次は同値である。 \[ {}^{\forall}a\in A,{}^{\forall}x\in N,ax\in N \]

$A~$を環、$M~$を左$A$加群、$N\subset M~$を部分群とする。
$N~$が部分$A$加群になるなら、$N~$は左$A$加群なので$~{}^{\forall}a\in A,{}^{\forall}x\in N,ax\in N~$が成り立つ。
また、これが成り立つとすれば、$N\subset M~$なので \begin{align} (1)&~{}^{\forall}x\in N,1x=x\\ (2)&~{}^{\forall}a,b\in A,{}^{\forall}x\in N,(ab)x=a(bx)\\ (3)&~{}^{\forall}a,b\in A,{}^{\forall}x\in N,(a+b)x=ax+bx\\ (4)&~{}^{\forall}a\in A,{}^{\forall}x,y\in N,a(x+y)=ax+ay \end{align} も当然成り立つ。
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命題3
$A~$を環、$M~$を左$A$加群、$N_1,N_2\subset M~$を部分$A$加群とする。
このとき、$N_1\cap N_2~$や$~N_1+N_2~$も部分$A$加群である。

$N_1,N_2~$は$~M~$の部分群なので$N_1\cap N_2,N_1+N_2~$も$~M~$の部分群である。
任意に$~a\in A,x\in N_1\cap N_2~$をとる。
$x\in N_1\cap N_2~$より$~x\in N_1~$かつ$~x\in N_2~$である。
$a\in A,x\in N_1~$より$~ax\in N_1~$、$a\in A,x\in N_2~$より$~ax\in N_2~$となる。
したがって、$ax\in N_1~$と$~ax\in N_2~$から$~ax\in N_1\cap N_2~$である。
よって、$N_1\cap N_2~$は$~M~$の部分$A$加群である。
また、$a\in A,x\in N_1+N_2~$を任意にとる。
$x\in N_1+N_2~$より$~x=x_1+x_2~$となる$~x_1\in N_1,x_2\in N_2~$がある。
$ax_1\in N_1,ax_2\in N_2~$より$~ax=a(x_1+x_2)=ax_1+ax_2\in N_1+N_2~$である。
よって、$N_1+N_2~$は$~M~$の部分$A$加群である。
$$\square$$

(1)環上の加群
(2)部分加群