可換環論 (5)同伴
$A~$を可換環、$a,b\in A~$とする。
${}^{\exists}u\in A^{\times}~\mathrm{s.t.}~a=ub~$が成り立つとき$~a~$は$~b~$と同伴であるという。
以降、$a~$が$~b~$と同伴であることを$~a\sim b~$で表すことにする。
命題16
可換環$~A~$上の同伴関係$\sim$は$~A~$上の同値関係である。
$a=1\cdot a~$より$~a\sim a~$となるのは明らか。
$a\sim b~$とすれば$~a=ub~$となる単元$~u~$がとれる。
$u~$は単元なので逆元$~u^{-1}~$が存在する。
このとき、$b=1\cdot b=u^{-1}ub=u^{-1}a~$となるので、$b\sim a~$である。
また、$a\sim b,b\sim c~$とすれば、$a=ub,b=u'c~$となる単元$~u,u'~$がとれる。
このとき、$a=uu'c~$となる。
$uu'~$もまた単元なので$~a\sim c~$となる。
$$\square$$
$a\sim b~$とすれば$~a=ub~$となる単元$~u~$がとれる。
$u~$は単元なので逆元$~u^{-1}~$が存在する。
このとき、$b=1\cdot b=u^{-1}ub=u^{-1}a~$となるので、$b\sim a~$である。
また、$a\sim b,b\sim c~$とすれば、$a=ub,b=u'c~$となる単元$~u,u'~$がとれる。
このとき、$a=uu'c~$となる。
$uu'~$もまた単元なので$~a\sim c~$となる。
命題17
可換環$~A~$と任意の$~a,b\in A~$に対して次が成り立つ。
\[
a\sim b \Longrightarrow a\mid b ~かつ~ b\mid a
\]
また、$A~$が整域なら逆も成り立つ。
$a\sim b~$なら$a=ub~$となる単元$~u~$が存在するので、明らかに$~b\mid a~$である。
また、$a\sim b~$なら$~b\sim a~$でもあるので、$a\mid b~$も明らかに成り立つ。
$A~$を整域とし、$a,b\in A~$を任意にとる。
$a=0~$のときは明らかなので、$a\neq0~$とする。
$a\mid b,b\mid a~$とすれば、$a=bc,b=ac'~$となる$~c,c'\in A~$がとれる。
このとき、$a=bc=ac'c~$となり、$a~$は零因子でないので$~c'c=1~$である。
つまり、$c,c'\in A^{\times}~$となる。
$$\square$$
また、$a\sim b~$なら$~b\sim a~$でもあるので、$a\mid b~$も明らかに成り立つ。
$A~$を整域とし、$a,b\in A~$を任意にとる。
$a=0~$のときは明らかなので、$a\neq0~$とする。
$a\mid b,b\mid a~$とすれば、$a=bc,b=ac'~$となる$~c,c'\in A~$がとれる。
このとき、$a=bc=ac'c~$となり、$a~$は零因子でないので$~c'c=1~$である。
つまり、$c,c'\in A^{\times}~$となる。
命題18
可換環$~A~$と任意の$~a\in A~$に対して次が成り立つ。
\[
a\sim 1 \Longleftrightarrow a\in A^{\times}
\]
$a\sim 1~$とすると、$1\sim a~$が成り立つ。
このとき、$1=ua~$となる単元$~u~$がとれる。
よって、$a~$も単元となる。
逆に、$a~$を単元とすれば$~a=a\cdot1~$となるので$~a\sim1~$である。
$$\square$$
このとき、$1=ua~$となる単元$~u~$がとれる。
よって、$a~$も単元となる。
逆に、$a~$を単元とすれば$~a=a\cdot1~$となるので$~a\sim1~$である。