集合論 (3)濃度の比較
濃度$~\boldsymbol{a},\boldsymbol{b}~$を持つ集合$~A,B~$について、$A~$から$~B~$への単射があるとき、$\boldsymbol{a}\le\boldsymbol{b},\boldsymbol{b}\ge\boldsymbol{a}~$と定義する。
この定義は集合$~A,B~$の取り方に依らない。
また、$\boldsymbol{a}\le\boldsymbol{b}~$かつ$~\boldsymbol{a}\neq\boldsymbol{b}~$のとき$~\boldsymbol{a}\lt\boldsymbol{b}~$とする。
$(1)~$
$\{0,\dots,n-1\}\subset\{0,\dots,n-1,n\}~$なので、$n=|\{0,\dots,n-1\}|\le|\{0,\dots,n-1,n\}|=n+1~$である。
また、$\{0,\dots,n-1,n\}~$から$~\{0,\dots,n-1\}~$への単射は存在しないので、
$n\neq n+1~$であり、$n\lt n+1~$となる。
$(2)~$
$\{0,\dots,n-1\}\subset\mathbb{N}~$なので、$n\le\aleph_0~$である。
$\mathbb{N}~$は有限ではないので、$n\neq\aleph_0~$となる。
よって、$n\lt\aleph_0~$である。
$(3)~$
$\mathbb{N}\subset\mathbb{R}~$なので、$\aleph_0=|\mathbb{N}|\le|\mathbb{R}|~$である。
また、$\mathbb{N}\not\sim\mathbb{R}~$より$~\aleph_0\neq|\mathbb{R}|~$となる。
よって、$\aleph_0\lt|\mathbb{R}|~$である。
$(1)~$ $\boldsymbol{a}=|A|~$とすると、恒等写像$~A\to A~$は単射である。
$(2)~$ Bernstein-Schröderの定理により従う。
$(3)~$ $\boldsymbol{a}=|A|,\boldsymbol{b}=|B|,\boldsymbol{c}=|C|~$のとき、単射$~f:A\to B,g:B\to C~$があり、$g\circ f:A\to C~$も単射である。
このとき、$A\neq\emptyset~$なので元$~a_0\in A~$がある。
$A\subset\{a_0\}~$ではないので$~A\setminus\{a_0\}\neq\emptyset~$となり、元$~a_1\in A\setminus\{a_0\}~$がとれる。
同様にして、$a_0,\dots,a_k~$がとれたとして、$A\subset\{a_0,\dots,a_k\}~$ではないので元$~a_{k+1}\in A\setminus\{a_0,\dots,a_k\}~$がとれる。
このようにして、すべての$~n\in\mathbb{N}~$に対して$~A~$の元$~a_n~$がとれる。
さらに、$a_0,\dots,a_n,\dots~$はすべて互いに異なる。
よって、写像$~f:\mathbb{N}\to A~;~n\mapsto a_n~$は単射である。
したがって、$\aleph_0\le|A|~$である。