title

集合と関係 (2)集合の分割


 集合$~X~$の部分集合族$~\mathcal{D}~$が次の条件を満たすとき、$\mathcal{D}~$は$~X~$の分割という。 \begin{align} (1)&~\bigcup\mathcal{D}=X\\ (2)&~\emptyset\notin\mathcal{D}\\ (3)&~A,A'\in\mathcal{D}~かつ~A\neq A'\Longrightarrow A\cap A'=\emptyset \end{align} $(1),(3)$はまとめて、$\displaystyle\bigsqcup\mathcal{D}=X~$ともできる。

命題2
$\mathcal{D}~$を集合$~X~$の分割とし、$X~$における関係$~R_{\mathcal{D}}~$を \[ xR_{\mathcal{D}}y\Longleftrightarrow{}^{\exists}A\in\mathcal{D}~\mathrm{s.t.}~x\in A~かつ~y\in A \] と定めると、$R_{\mathcal{D}}~$は$~X~$における同値関係である。

分割の定義$(1)$より、${}^{\forall}x\in X~$に対して$~x\in A~$となる$~A\in\mathcal{D}~$がある。
このとき、$x\in A~$かつ$~x\in A~$なので$~xR_{\mathcal{D}}x~$である。
よって、$R_{\mathcal{D}}~$は反射律を満たす。

明らかに $$ x\in A~かつ~y\in A\Longleftrightarrow y\in A~かつ~x\in A $$ なので、$xR_{\mathcal{D}}y\Leftrightarrow yR_{\mathcal{D}}x~$である。
よって、$R_{\mathcal{D}}~$は対称律を満たす。

$xR_{\mathcal{D}}y,yR_{\mathcal{D}}z~$とする。
$xR_{\mathcal{D}}y~$より、$x,y\in A~$となる$~A\in\mathcal{D}~$がある。
$yR_{\mathcal{D}}z~$より、$y,z\in B~$となる$~B\in\mathcal{D}~$がある。
いま、$y\in A\cap B~$なので$~A\cap B\neq\emptyset~$となっている。
これと分割の条件$(3)$より、$A=B~$である。
よって、$x\in A~$かつ$~z\in A~$となるので$~xR_{\mathcal{D}}z~$である。
したがって、$R_{\mathcal{D}}~$は推移律を満たす。
$$\square$$


命題3
$f:X\to Y~$を写像とするとき、$\mathcal{D}=\{f^{-1}(\{y\})\mid y\in f(X)\}~$は$~X~$の分割である。

$x\in X~$として、$y=f(x)~$とすると、$x\in f^{-1}(\{y\})~$なので、$\displaystyle x\in\bigcup\mathcal{D}~$である。

任意の$~y\in f(X)~$に対して、$y=f(x)~$となる$~x\in X~$がある。
このとき、$x\in f^{-1}(\{y\})~$となるので$~f^{-1}(\{y\})\neq\emptyset~$である。

$y,y'\in f(X)~$として、$x\in f^{-1}(\{y\})~$かつ$~x\in f^{-1}(\{y'\})~$となっているとする。
このとき、$y=f(x)~$かつ$~y'=f(x)~$となるので$~y=y'~$である。
よって、$f^{-1}(\{y\})=f^{-1}(\{y'\})~$となる。
$$\square$$

(1)同値関係
(2)集合の分割